2022/02/19 14:49
「人形工房それぞれの特徴について教えてください」というご質問を頂いたのでここにもご案内させていただきます。
伝統工芸でもある五月人形は地域により作風に特徴があり、そして職人は技を競い精進されているので、毎年新作を発表しお客様に喜んでいただける自慢の品を作り続けています。それが工房毎の特徴に現れますので我々他の工房の新作を拝見するのがとても楽しいです。
まず、五月人形である甲冑は地域で大きく別けると江戸甲冑・京甲冑・尾張甲冑に別れます。
昔は他にも地域がありましたが衰退していきました。人形工房彩倉は尾張甲冑の伝統を
受け継いでいます。
江戸甲冑、京甲冑、尾張甲冑の特徴を私なりの解釈でご説明させていただきます。
(所説あるのでご理解ください)
伝統を重んじ、表には出ない細部にまでこだわった作り。
派手さはなく、渋く飽きのこない作風が多いです。
袱紗は紫一色で、忍び緒は朱色、紺色などの単色。縅糸も朱色や赤など単色が多い。
小札には金箔、裏には白檀が塗られるなど昔からの伝統を固く守る作風といった感じです。
京甲冑同様に昔からの伝統を守るデザインが多いです。京甲冑が小札に金箔を貼った
金色の品が多いのに対し、江戸甲冑は黒小札をベースにした品や本革を使った高級感のある作風が多い印象です。
工房ごとに工夫されているので一言ではなかなか言えませんが、京甲冑とは違った味わいを出すように工夫されています。
「尾張、三河の結婚式は派手!」この一言に表れているようにお祝い事は派手に!というのが尾張の特徴。
なので尾張甲冑の作風は「豪華」「高級感」「見栄えが大事」です。今風に言えば、インスタ映えが超重要といったところです。
人形工房彩倉も尾張甲冑の流れを継いでいますので、見栄え重視です。
昔ながらの製法を受け継ぎながらも新しい素材や技法を取り入れることに果敢に挑戦しています。
銅を加工し鍍金した彫金(電気鋳造)という技法を甲冑作りに積極的に取り入れたのも尾張甲冑師でした。
袱紗は単色に拘らず、色彩豊かで華やかな刺繍も取り入れ、忍び緒は何色もの色を混ぜた組紐を取り入れました。
現代は北欧風のシンプルなインテリアにもあうモダンなデザインにも挑戦しています。
「伝統の継承と創造」これが尾張甲冑の流れを受け継ぐ彩倉のスタイルです。
尾張甲冑の中でも工房により作風は別れます。
もちろん、京、江戸甲冑でも工房により作風は分かれます。正解はないので、色々見比べて
好みに合わせて選ばれるのがおすすめです。
(結局お好みで^^参考にならなかったらすみませんm(__)m